「うちの子は女の子だけど、小学校お受験を意識した家庭教育では、男女別のやり方があるのかしら」と不安になるママもいることでしょう。さて、どうなのでしょう。
現在のように科学が進歩しても、脳のしくみや働きは、まだまだ未知の部分があるようですが、最近の研究では、男の子と女の子の脳を比較すると違いがたくさんあることがわかってきています。
たとえばこんな報告があります。生まれたばかりの赤ちゃんをベッドに寝かせて、その上にくるくる回るモービルを取りつけます。そこに、知らない女性を登場させ、赤ちゃんの顔を覗き込みます。その結果、男の子はモービルを見ている時間が長く、女の子は女性を見ている時間が長いことがわかっています。乳児の段階から、物体や動くものに興味をもちやすいのが男の子、人間に興味を持ちやすいのが女の子だといえます。男の子は自動車や鉄道、女の子はお人形を好むのもナルホドと納得のいくところです。
脳の構造にも性差があるようです。左脳と右脳をつなぐ神経の束である脳梁は、女の子のほうが太いことがわかっています。左脳は言語処理、右脳はイメージや直感などをつかさどっているので、言語とイメージとつなげて考えるのは、女の子のほうが得意らしいということがわかってきました。
算数を理解する方法も、男の子と女の子では、ずいぶん違うようです。現代では数学者に男性が多く、男の子が理解しやすい方法で数学を教えているので、女の子に不利ではないか、ある年齢まで男女別で教育した方が学力は伸びるのではないとかという説もあります。
では、お子さまが男の子か、女の子かで家庭教育の質や方法を変えなければならないかというとそうでもないのです。好きな絵本やおもちゃにしても、男の子と女の子では興味の持ち方が随分違いますが、それが男女差なのか、個人差なのかは実はまだよくわかっていません。
そのため、家庭教育では、男の子だから、女の子だからと意識せずに、その子が興味をもつことをできるだけ大事にしてあげましょう。その子らしさを重視した対応をすれば結果的に男女の違いにも対応した家庭教育となっていくはずです。
性差で子どもの行動を制限しないこと。これが家庭教育で大事なことなのです。