文部科学省によると少子化傾向にあるにもかかわらずお受験が必要な全国の私立小学校は、この20年間で約4割増え、現在237校。首都圏の1都3県の私立小学校のお受験者数(公表している学校のみ)は、昨年度2万935人と5年前に比べて約4千人増加。都内の私立小学校数も現在55校に達しています。
こうした現状を見ると私立小学校への需要が年々高くなっていることが良く分かりますね。
「大学まで内部進学で進める学校なら、後がラクだから小学校でお受験をさせたい」。そう思うのももっともなことです。私立小学校のなかには、有名中学校受験を目標にしている進学校もありますが、大学の系列中学校や高校がある小学校なら、内部進学が約束されていることが多いため、その後の過酷な受験競争をさけることができるのですから、小学校のお受験に舵を取りたくもなります。
高校での募集を停止し完全中高一貫校になる進学校も増えています。男子御三家の開成、麻布、武蔵、女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉はすでに完全中高一貫校ですが、今まで高校の募集も行っていた男子進学校の本郷高校が2021年から、女子進学校の豊島岡女子学園が2022年から高校での募集を停止し完全中高一貫校に移行します。そのほか、都立の一貫校で、高校に付属中学校を併設している富士、武蔵、両国、大泉、白鴎も2021年から順次高校での募集を停止するため都内の公立中高一貫校すべてが完全一貫校となります。
有力校がこぞって高校の募集を辞めてしまうため、中学受験をする子どもがますます増えていくことが予想されます。そのため、中学校受験は、小学校のお受験以上に過酷な現状が待ち受けています。
中学校受験のためには、おおよそ小学校3・4年生から塾通いが始まります。家族そろって夕食の食卓を囲むこともできずに、朝、家を出るときに持たせられたお弁当やコンビニで買ったパンを移動の合間にかき込み、夜遅くまで塾で勉強をこなす。こうした光景がわが子の日常になってくることでしょう。こんな過酷なことはできればさけたいところです。
「小さい子どもにお受験はかわいそう」。そう思う心情も理解できるのですが「中学校ではなく小学校でお受験」と割り切って、小学校お受験の決断することをおススメしたいですね。