「ほかの子と比べないこと」。これが子育てや家庭教育の鉄則ですが、友だちと遊ぶ機会が増えたり、幼稚園に行ったりすると「うちの子はほかの子と比べて背が小さい」「うちの子はどうして足が遅いのだろう」「うちの子は控えめで目立たない」…。自分の子どもの欠点ばかりに目がいき、他のお子さんと比べがちになってしまいます。
「ほかの子と比べてはダメ」。頭では理解しているのですが、どうしても他の子どもと比べて落ち込んでしまうことにも。自分の子ども時代のことを考えてみてください。自分にはない優れた能力を発揮する同級生が必ずいたはずです。子どもの周りにも「先生の質問にすぐに反応する頭の良い子」「かけっこがめちゃくちゃ速い子」「やる気があってどんなことにも積極的にチャレンジする子」などなど。でもわが子と比較せずに冷静に考えると「そういえばうちの子はモノをつくることは得意」などと子どもの良さを見つけられるはずです。
3才頃になると手先がかなりこまやかに動くようになるので、箸が使えたり、パジャマを着るときに自分で腕を袖に通したり、ズボンをはけるようになります。また、教えると、のこぎりがひけるようになったり、包丁を持って野菜を切ることができるようになったり、ドライバーでネジを回すことができるようになってきます。
手先が器用な子はモノづくりにも興味があり、材料を用意して「こんなモノをつくってみたら」とチャレンジさせると親の想像を超えた工夫いっぱいのモノを作ることも。人間の遺伝子には、工夫する力や考える力など人間の知恵を伸ばすような情報がインプットされているのです。
たとえば、紙飛行機を作った後には「もつと遠くに飛ばせる紙飛行機を作ろう」とさらに工夫をするようになるはずです。ピアノやバイオリンの音を聞くと「なぜ音が出るのだろう」とそのしくみを知りたくなり、音の出るものを作ろうとしたりすることもあるでしょう。
また、「上手にできたね」と親にほめられたりすると達成感を味わうようになり、ますます夢中になっていくはずです。そして「工夫するともっとよくできるはずだ」といった探求心も芽生えてきます。モノづくりは手先を鍛えるだけではなく、潜在的な遺伝子を刺激し、人間の能力を活性化します。
家庭教育でのモノづくりは、工夫する力や、考える力をのばすことにつながります。それが小学校のお受験へ向けてもきっと生かされていくことでしょう。