最近、テレビでは東大生とインテリ芸人が対戦するクイズや、東大の現役学生が作成したひらめきクイズなどの番組が花盛りですよね。クイズ番組で活躍する東大生の一人は、雑誌のインタビューで「小学生、中学生のころにはまったく勉強はしませんでした。親からも勉強しろと言われたことはありません。でも親がリビングで本を読んでいる姿を見て、自分もマネをするようになり、本がどんどん好きになっていきました」と話していました。
親が意識してお手本を示すことも家庭教育で大事なことはいうまでもありません。
脳には「ミラーニューロン」という神経細胞があります。この細胞は「人のマネ」に反応するはたらきをします。例えば、相手の行動を見て、自分自身も同じ行動をとっているかのように錯覚し、やがて同じ行動をとるようになるのです。
親が楽しそうに本を読んでいる姿を見ると、子どもは自分も親のように本を読みたくなり本に興味を持ち始めます。また、図鑑や本に興味をもった子どもに、本物を見せることも子どもの知的好奇心を伸ばすには大切なことです。
東大に在学している学生の一人は、親に感謝していることとして「興味をもったことに対して親がとことん付き合ってくれたことです。魚に興味をもつたら水族館に、星に興味をもったらプラネタリウムへ、トンボに興味をもつたら野山につれて行ってくれました」。図鑑や本でしか知らなかった世界だったけれども、実際に出かけて五感を刺激することで、子どもは世の中の広がりや奥深さを知り、それが脳の活性化につながっていきます。
「伸びる子」「伸びない子」がいますが、「小学校のときにすごく頭が良くて、その後さらに伸びた子の家庭と、伸びが足りなかった子の家庭の差は、子どもが興味を持ったことに対して本物を見せるかどうか」だという研究者もいます。「本物を見せることを一生懸命にやった家庭の子どもは、その後すごく伸びていき、そうしなかった家庭の子どもは伸びが足りない」と語っています。
家庭教育で大事なことは東大に入ることではなく、子どもが将来にわたって夢を持てる環境を、親がつくつてあげられるのかどうかなのです。そのためにも親は、子どもに影響を与えられる良いお手本を示していく必要があるのです。