「共働きでは不利」という噂とともに、「子どもを保育園に預けるようなご家庭だとお受験はムリでしょう」。という話しを聞くことがありますが、この噂には2つの皮肉が込められているように思います。1つは「保育園に子どもを預けているのは経済的に余裕のない共働きのご家庭なので高い学費のかかる私立小学校に通えるはずがないでしょう」という上からの目線。もう1つは「保育園は子どもを預けるだけの施設なので、お受験に必要な集団行動などの習慣が身につかないので合格はムリでしょう」というお受験の対策不足への蔑み。
保育園は「共働きの親のために子どもを預かる保育施設」。一方、幼稚園は「お遊戯をしたり、みんなで一緒に歌を歌ったり、絵本に耳を傾けたり…。お受験にも役立つ教育施設」というイメージがあると思います。でも最近は、一概にくくれないほど、子育てのための施設が多様化しているのです。
2015年に「子ども・子育て新支援制度」という法律が施行されました。この法律は、大まかにいうと、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省の管轄という縦割りの垣根を取り払い、子育てのしやすい環境を費用や施設の充実などで支えていこうという制度です。その目玉となったのが「認定こども園」です。それまでも全国に少数ですが存在はしていたのですが、この制度を契機に、認定こども園の数が一気に増加しました。
認定こども園もいろいろなタイプがあるのですが、私立小学校のお受験を目標のひとつにして、外部の先生を招いてお受験のための幼児教育に力を入れている施設もあります。預かりも夜8時過ぎまでOKで、同時にお受験対策もできるのですから、お受験を考えている共働きの親には大人気になっています。お茶の水女子大学構内や日本大学系列の認定こども園もあるなど「お受験は幼稚園でなくては不利」という幼稚園神話も過去の話になっているのです。また、お受験のための幼児教育にしっかり取り組んでいる保育園もあります。
ただし、私立小学校のお受験では、集団で行動できるのかが合否のかぎになってくるため、グループレッスンのない認定こども園や保育園に通っている場合には、みんなで一緒に何かをするという経験をお子さまに積ませていくことが大切です。そうした準備をしておけば幼稚園以外の施設に通っていることもお受験で不利にはならないはずです。